創業前に確認すべきこと、知っておくべきこと 引退時の選択肢 ~前編~
こんにちは。税理士の佐藤です。
今回も、少し未来のことを一緒に考えていきましょう。
テーマは「引退を迎えるとき、医院はどうするか?」というお話です。
M&Aの可能性を中心に、いくつかの選択肢をお伝えします。
1.引退時に考えられる道
以前は退職金のお話をしましたが、今回はもう一歩先へ進みます。
先生が引退を迎えたとき、ご自身の医院はどうされますか?
選べる道はそれほど多くはありません。
考えられる選択肢
- 医院を閉める
- お子さん(獣医師)に承継する
- 勤務している獣医師に継がせる
- 外部の第三者に譲渡(M&A)する
高額な初期投資が必要な動物病院を、ただ閉めてしまうのは非常にもったいないと私は思います。
医療機器の一部は売却可能かもしれませんが、内装・看板などはむしろ撤去にコストがかかることも…。
そして何より、
- 信頼を得てきた患者さま
- 共に育ってきたスタッフ
- 地域の中で築いてきたブランドや信用
こうした“見えない財産”は、帳簿には載りませんが、実はとても大きな価値です。
だからこそ、「閉院」は選択肢から外して考えた方がいいと思います。
また、「ご子息へ承継」「スタッフに任せる」も理想ではありますが、どちらも不確実性が高く、現時点から戦略を立てにくいのが実情です。
そう考えると、意外かもしれませんが、“第三者への譲渡(M&A)”が、最も現実的な選択肢になることが多いのです。
2.ゴール地点を意識した開業
開業当初は目の前のことで精一杯。
資金繰りや集客、人材確保など課題は山積みです。
1~2年経つとスタッフの教育や体制整備、5年目あたりには経営も少し落ち着いてくるでしょう。
ここまでは、どの先生も似たような経験をされると思います。
今回お伝えしたいのは、そこから“さらに先”の話です。
開業前や、今まさにスタートしたばかりの先生は、ちょっと目を閉じて想像してみてください。
5年後、医院の年商は1億円。
ある程度の余裕があり、スタッフ体制も安定。
新人もベテランのフォローを受けながら育ち、自走するようになってきました。
——さて、そこから、どうしますか?
- さらに大きく展開して、売上アップ・分院展開など“拡大”を目指す
- 現状維持をベースに、満足度の高い医院づくりを続ける
どちらの道も素晴らしいと思いますが、もっと遠い将来にふと気づくはずです。
「この医院、自分が引退する時にはどうなるんだろう?」
そう感じ始めたときに、改めて“M&A”という選択肢が浮かび上がります。
この時点で意識を始めても十分間に合います。むしろかなり早い方でしょう。
ですが、せっかく今このコラムを読んでいただいているので、
開業初期から「M&A」という出口を意識した医院経営を考えてみてもいいのではないでしょうか?
では、何を意識するのか? それはとてもシンプルで、
『“売れる”医院を作ること(=売れづらい医院にしないこと)』
この一言に尽きます。
この続きは、また次回お話しさせてくださいね。